2010年8月
当時大学生だった俺は通学の為に、仙台市内在住か仙台市内に大学がある学生向けの仙台市営バス乗り放題のフリーパスを持っていた。
そこで市営バスで遠くに行って元を取りまくってやろうと思った。
市営バスでは、山形県近くの定義(じょうげ)や作並温泉、海岸方面では仙台市の隣の名取市にある閖上(ゆりあげ)まで路線を広げていた。
そこで目に付けたのが定義である。
小学生くらいに時に両親に定義如来西方寺に来るまで連れられた思い出があり、久しぶりというか、10年ぶりくらいに行ってみようと思ったからだ。
市営バスで定義山へ
8月16日。
仙台駅前から定義行きに乗車し、定義如来西方寺へ向かった。
街を抜け、しばらく鄙びた住宅街を走行していく。
バスは1時間くらいかけて白沢車庫に到着。
乗客の爺さん婆さんを数人降ろし、運転手交代で5分くらい停車していた。
ここから先、乗客は自分も含めて3人しか乗車していない状態だった。
白沢車庫を過ぎると民家すら見当たらない山道を走行していく。
ちなみにこんな山奥でも仙台市である。
しばらく山道を走行していくと大倉ダムが見えてきた。
仙台市の一部は水道はここから引かれている。
ちなみに、マルチプルアーチダムという日本ではここと、豊稔池ダムの2つしか存在しない珍しいダムらしい。
バスはダムの上を走行していく。
ダムの上を走行するなんて不思議な気分だな。
路線バスがダムの上を走行するは珍しいのではないだろうか・・・。
大倉ダムを越えて、10分ほどで定義に到着。
最後まで乗車したのは自分を含めて3人しかいなかった。
定義如来西方寺参拝
この写真では分かりづらいが参拝客で溢れていて、皆マイカーで来たんだろう。
境内に入ると、巨大な本殿があり、たくさんの参拝客でごった返していた。
見ての通り火事じゃないかと思うくらい線香の煙がモクモクと上がっていて正直煙たかった。
本堂からちょっと逸れたところに五重塔が。
いかにも仏閣に来ましたって感じでいいな。
だがこの五重の塔、昭和61年に建設されたもので京都や奈良にあるものと違い歴史が無い。
五重の塔の近くには池があり、たくさんの錦鯉が泳いでいた。
餌をねだりに水面をパクパクさせならが集まってきた・・・。
残念!!おめーらの餌ねえから!
西方寺近辺の定食屋で昼食を取り、ここを後にした。
定義山名物の三角油揚げを買って帰ろうかと思ったが、こんな暑い中持ち歩いてもダメになるだろうと諦めた。
※Wikipediaからの画像引用
これが定義山名物の三角油揚げ
外はサクサク、中はフワフワしてジューシー。
ただの油揚げのくせしてかなり美味いんだよ。
バスは再び、大倉ダムの上を通り、
1時間半で仙台駅に到着。
このまま帰宅しようかと思ったが、海の方にも行ってみたくなり深沼海岸へ向かうことにした。
市営バスで深沼海岸へ
バスは市街地を抜け、車窓が住宅地から田園風景に変化していく。
仙台駅から約1時間。深沼海岸バス停に到着。
時刻は18時半を回っていて日が暮れていた。
まさか約半年後に、例に洩れず東日本大震災の津波でここ一帯が更地と化し、二度とこの街並みを見ることが出来なくなるとは思わなかった・・・。
松林を抜け海岸に出てみると砂浜にはカップルが複数人居るくらいでガランとしていた。
しばらく海を眺めていた。
人気が無く静かで、海風が冷たく気持ち良かった。
その後、バスで仙台駅に戻り、帰宅した。
定義如来西方寺は10年前から記憶の限り変化が無く懐かしかったが、三角油揚げを変えない状況だったのが口惜しかった。
おわり。